鯖の旅〜後篇〜

旅の後半のコースプロフィール

41km地点関門の久多ADを過ぎると、トレイルコースでオグロ坂峠(45km標高870m)まで一気に500m登り、
峠を越えて高層湿原の八丁平。林道とトレイルを経由して尾越(47km標高670m)まで下り。
大見AD(51km標高600m)まではロードの下り。
その後、6kmの林道を登りが続き、杉峠(57km850m)
そこからは、ロードを6km下って鞍馬AD(63km標高275m)16:10関門閉鎖 市原AD(67km)16:30関門閉鎖
鞍馬からは延々と同じ街の風景の続く15kmとなる。

10:30 ⑤久多AD
久しぶりのADだ。たくさんの声援。
ここでは唯一おにぎりのあるAD。丁寧に握ってくださった美味しそうなおにぎりなのに、今は食べたくない。
塩コンブの付いたきゅうり、レモン、オレンジなどとポカリ2杯を頂く。
くるっと見まわし、ごちそうさまを言って・・
また、走りだす。

次のADまでって、あれほど思ってたどり着いたのに、2-3分の補給でまた足を進めてしまう。
もっと休みたい訳でもなく、休みたくないと思っている訳でもない。
ただ、体が動いてしまうだけ。

そんなにあせらんとゆっくり食べて行きなさいよ。と言いたいところだろうなと、いつもご飯を作る人として思う。
きゅうり1切れ。オレンジ1切れ。そのおかげで、次のADまで走っていけるんですよ。
たぶん表情はこわばったままだろうけれど、精一杯の感謝を込めて、いただきます。ごちそうさま。を伝える。

八丁平までのブナやミズナラのオグロ坂峠。
周りには黄色ゼッケンはほとんどいない。時折、ピンクゼッケンの方か抜いていくくらいで 人はまばら。
美しい風景。ここは落ち葉はなく、走りやすい。勾配も走れないほどではない。

だから余計に辛かった。
美しいトレイル。走ろう。走り抜けたらきっと楽しいハズ。なのに、歩くほどのスピードの走りしかできない。
けど、走りたいから歩きはしない。

オグロ坂峠を越えて、八丁平。道に迷いやすいので注意とあったが、STAFFがいてくださるし、
半鯖の方がいるので、まったく一人になることはなかった。
そして、⑥尾越ADまでは、濡れた砂利のでこぼこの林道がつづいた後、

短いトレイルらしい下り。この下りもまた、こんなにへたれた体なのにどうして?と思うほど、楽しい。
なんも考えずに、ただ落ちる(笑) 
三木のMTBコースみたいなところもあって、このクイックなカーブはきっとムリなんだろうなと思ったりする。

正直、この後半のコースは この下り以外はそれがどこの場面で、どこの風景なのか 覚えていない。

2つのADがあった気がする。それがきっと尾越ADと⑦大見ADだったんだろう。
あと24kmと書いてあった大見ADで12:15ころ。予定より35分の貯金。
そう。大見ADを過ぎた直後に、雨が降りだしたんだ。

3時ごろの降りだす予報だったのに早かったな。
6kmの登りの林道はさっきよりも石が大きくガレガレだったと思う。
ああ、、王滝は行きたくないなと思った。

雨の降りしきる峠道。この風景は一さんのブログの写真で見た景色と同じだな。
人もバラけて、ふと気がつくと霧の漂う林道をひとりで走っている。
前に誰もいない。一瞬不安になり振り返ると、ひとりだけ走っている人が見えた。
アームカバーをつけ直し、帽子もかぶり、ランシャツの襟のジップを上まで上げて走り続ける。

⑧杉峠AD(57km850m)到着が13:05ころ。50分の貯金。ここでは、暖かいお茶が用意されていた。
ツールのサポート並みの気遣いに、本当に感謝した。
火傷するよって、言わはるから 飲みかけのポカリで薄めていただいた(笑)

花背峠を下り、国道に合流。ロードの下りが6km。
この下りが怖くて六甲山舗装路を4回も走ったのだけれど、まったく問題なく下れる。
むしろ、楽しいくらい。脚も膝も痛いところはない。ただ、胃と腰の疲労はキツイ。
そしてふと思う。これが終わったらまた仕事か・・
仕事の辛さに比べたら、こんなの全然ツラクなんてないよな。
こんなに楽しく下れるなんて。練習して良かった。

13:45ころ⑨鞍馬AD(63km標高275m)少しほっとして、グレープフルーツを頂き
トイレに寄って気持ちよく仕切り直して、あと15kmを走ろう。

しかし・・この15kmが一番長く感じられた。
鞍馬を過ぎると、変化のないよくある街の景色。
それにしても、女性の黄色ゼッケンは久多のAD辺りで2人見た以来、一度も見ていない。
ここまで何度か前後してきた、黄色ゼッケンの方たちとあと10km、あと8kmと言いながら励ましあった。
ちょっとシャツの汗臭い初老の男性。全身赤色の半鯖ゼッケンの色に気付いた方。スタート直後の集団の中にいた方。
賀茂川の河原に出ると、声援も増えてきた。8時間台いけるよとの声がかかる。

すでになじみ顔の方が並走しながら「8時間台は厳しいな〜キロ4分半で行けばいけるかな(笑)」「ムリ〜(笑)」
笑ったあとふたりとも黙り込む。彼は「最後に差し込んでくるわ」とペースアップして進んでいった。

右岸に渡ったらあと1kmなのにまだ左岸を走ってる。後3km。
ようやく橋を渡った。あと500m。

ゴール。78km 9時間14分13秒 93位/449人